TEACCH 家庭に少しだけ取り入れてみた ①

構造化

構造化によって「見通しを立てることができる」と、自閉症児の不安は大幅に緩和されるようです

療育で広く使用されているTEACCH。療育で初めて触れ、現在通う支援学級でも用いられており、家庭内でもそのエッセンスを活用している。

TEACCH : Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Children
直訳すると「自閉症および関連するコミュニケーション障害児の治療と教育」です
自閉症の人たちが自立した行動を取ることができるように支援する包括的なプログラム

我が家が書籍等で参考にさせて頂いている佐々木正美先生が、その研究を進めるなかで積極的に携わっておられた
川崎医療福祉大学のTEACCH・自閉症支援ページのURLを添付します
https://w.kawasaki-m.ac.jp/center/teacch/

TEACCHを活用するにあたって、重要なポイントは、
環境やスケジュールの構造化
・得意なことを伸ばし、苦手なことをカバーする

今回は構造化について導入事例を書く。

未就学期に家庭で試みたのは、スケジュールの構造化=見える化だ。

  • 一日スケジュール(平日) : 小型ホワイトボードに療育のカリキュラムを貼付け、家を出る時刻と帰りのバス時刻を記入
  •     〃   (週末) : 行き先の写真を貼付け、出発時刻を記入、昼ご飯の場所も記入or写真で明示
  • 一週間のスケジュール   : ホワイトボードを横置きして7分割し、曜日毎にスケジュールを記入(げつようび:○○(教室名)、かようび:○○~、にちようび:△△プール 等)

長男は家での時間のほとんどをテレビの前で過ごすので、ホワイトボードなどのスケジュールはテレビの横に置いた。週末の予定は、金曜日にスケジュールを2枚用意し、土曜日と日曜日の予定をそれぞれ長男に見せて合意を取る。嫌がった場合は、代案を提示する。

長男の場合は、自分のこだわりを”妨害される”ことによるストレス、見通しが立たないことによる不安とストレスがかなり強かった。
療育ではこれらを軽減させる為、可能な限り”時間”と”空間”を見える化させる努力をして頂いた。

もう一つ、構造化を取り入れて小学校へ進学した今も続けているものがある。それは、録画番組の構造化だ。
長男はとにかくテレビが大好きで、好きな番組を繰り返し何度も視聴する。興味があるから見ているのだけではないようだ。主治医曰く、決まったテレビを見るルーティンをこなしていることで落ち着くので繰り返しているのではないか、ということだ。長男は早送りで好きなシーンのみ視聴し、次の番組へ移る。”我々”とはテレビの視聴方法が全く違う。

長男はテレビを見ることで安定できるので、ここにも構造化を取り入れた。端的に言えば、専用デッキを買い与えた

  • 長男と家族のデッキを分け、長男の見たい番組は全て自分の専用デッキに保存されている状態にした
  • 録画した番組の削除は、全て長男に任せる。自分で要らないと判断したら自分で削除する
  • 録画予約も基本自分で行う。インターネットやテレビ欄で長男が好みそうな番組を見つけたら、長男に教えて自分で要るか要らないか判断させる。必要と思えば自分で予約する

    次のものはデッキのスペックによるものだが、録画した番組は、番組のジャンル → 番組名 の順で保存フォルダが階層化される。録画日も打刻される。
  • 好きな番組の保存場所が、デッキ内でフォルダ階層化される

④は長男をかなり助けてくれている。デッキの操作ができない頃は、精神安定剤であるテレビを上手く視聴できないことによってイライラしていた。親が付きっきりで操作を代行しなければいけない時期があり、親はかなり辛かった。親の見たい番組が消されることや誤って長男の番組を消してしまい大パニック、こんなことが頻発した。
もし、テレビにこだわりを持っているお子さんが居られれば、専用機を買い与えることをお薦めする。コストの面や配線の知識(デッキ2台持ちの場合)は必要だが、我が家ではかなり効果があった。

話は変わるが、祖母が入所しているグループホームを訪れた際、館内の至る所に手順を書いた紙や仕切り板が設置されていて驚いた。構造化は、自閉症に対して効果があるだけでなく、幼児やお年寄り、健常者にとっても有益なものだと感じた。レジの前に区画をして出口と入り口を分けることだって、考えようによっては構造化の一種だ。昨今持てはやされているユニバーサルデザインは、人種やハンデキャップに拘らず分かりやすいことが要件だ。

子どもにとって今よりも少しだけ分かりやすい状態をつくること、これだけでTEACCHを少しだけ取り入れることができる。
分かりやすくすること、これによってストレスが軽減されれば、今よりも少し状況は良くなる。