仲のいいお友達をつくる(2)

前回は、支援学級でのお友達との付き合い方を中心に書いた。長男なりにお友達をおおよそ3パターンに層別して、接し方を変えている。おそらく無意識でやっているのだろうが、”人を見る”ことができるようになったので、一本やりではないコミュニケーション術を駆使することができているのだろう。

  1. 気の合うお友達とは仲良く接する。冗談を言っても大丈夫。外遊びは気心の合う子を誘う(誘われる)。
  2. 気の合わないお友達とは相手本位で対応する。求められたら相手をする。相手の“世界“を尊重する。
  3. 苦手なお友達とは基本距離を取る。距離を取ることで無用ないざこざを起こさない。困った事態が起こったら、先生に相談する。

交流級と言って、健常児と一緒に学校生活を送る時間がある。長男は入学当時、交流級が大の苦手だったが、今は嫌がらずに参加することができている。おそらく”対処法”を身に付けたからだと思う。

健常児との距離感は、3.がベース。基本は距離を取り、”来るものは拒まず”。困ったことがあったら、まず先生を頼る

以前は、時間割にこの授業があるだけで朝から不安とストレスで暗い顔をしていたが、先生が頼れること、基本的に健常児から被害を受けることはないこと、が分かると、嫌がらなくなった。
余談だが、私が子どもの頃と比べ、健常児の障がい者への差別意識と行動は格段に減っていると感じる。クラスでのいじめは、陰湿で狡猾になっているのかもしれないが、こと対障がい者に対しての接し方は優しいものになっている。おそらく、学校の努力の賜物だと思っている。

次は、親御さんのことを書きたいと思う。
気の合う友達に共通していることがある。このお友達の親御さんに共通する点がある。気の合う子=いい子、と勝手に変換して書く。

”いい子”の親に共通する姿勢

①子どもの“今の状態を尊重“し、“受け入れて“いる

我が子の発達特性を受け入れ、障がいから目を背けていない。特性を下手に矯正せず、親の“フツーの子に育って欲しい“というエゴ”を捨てている(抑えている、が正しいかもしれない)。親御さんからこの姿勢を感じられる子は、穏やかで優しい。

②子どもの安定を第一に考えている。子どものストレスや不安を取り除くことを最重要視した子育てをしている

漠然とした将来への不安にフォーカスしない。考えたらキリがないので、いくらでもイライラできてしまう。子どものありのままを受け入れることで、“余計なことを考えず、目の前の子どもを受け入れる“。親がストレッサーになっていないことがとても重要で、子どもが出来ないようなことを親が無理強いすると、子どもはストレス反応で不安定になる。これにより不安定な子は結構多いと感じる。普通級においても1~2人ほど”あやしいな”という子がいる。家が落ち着ける場所、家族が安らぎを与えてくれる存在でないと、子どもはささくれ立ってしまう。

③子どもに愛情を注いでいる

これは、”ありのままの我が子を”という枕詞をつけて、その子に愛情を注いでいるかどうかと読み替えてほしい。端から見て、“愛されているな“と感じられる子は、基本安定していて穏やかだ。授業参観などを見ていると、授業に参加する意欲も高いと感じる。自己肯定感が高いのだろう。

手前味噌だが、我が家もこれらを実践しているつもりだ。これらを頑張って実践することによって、長男はかなり安定したと思っている。どれも完璧にできているわけではないが、姿勢は常に持ち続けているつもりだ。健常児以上に、自閉症児は親次第で大きく変わるものなのだ、と思っている。

長男が苦手なお友達は、親御さんにこれら3点が欠けているか、あるいは薄いように感じる。
①や②が乏しければ、過干渉として子どもが常に高ストレス状態に置かれている可能性がある。自己肯定感が低く、レジリエンスも低い。ストレスが攻撃性になって現れてしまうこともある。すぐに手が出てしまう子は結構多い。
また、③が乏しければ一種のネグレクト状態で、こちらも自己肯定感やレジリエンスは低くなる。愛情を満足に受けられなければ、コミュニケーションに影響が及ぶ。健常児において語られる愛情不足の悪影響は、自閉症児においても起こるものだと思う。

自閉症児にとって、親の役割は計り知れないほど大きいと感じる。

自閉症児は親次第で大きく変わる

これをいつも肝に銘じている。今回も”勝手解釈”で色々書いてしまったが、ある程度経験則に基づいているので、大外ししていないと思っている。宜しければ子育ての参考にしてほしい。