サンタクロース 信じる力

クリスマスの準備が着々と進んでいる。ケーキの予約を済ませ、プレゼントの用意も完了した。昨年からイヴの晩御飯がロースト手羽チキンになった。それまでの定番メニューはハンバーグだったが、太りにくい食材のチキンを好んでくれるのはいい傾向だ。

さて、子どもは何歳までサンタクロースを信じてくれるのだろうか。自閉症の長男は、小学校高学年にも関わらず、サンタクロースへの疑念が一切ない。フィンランド発のニュース映像で取り上げられるサンタが、毎年ウチにやってくると信じている。お友達にサンタのネガキャン話をされることがないので、長男は何歳まででもサンタを信じられそうだ。

一方、小学校低学年の次男は、すこし疑いの念を抱き始めている。一晩で世界中の子どもたちにプレゼントを配る作業の不可能さ、施錠された家に入ることができる謎、少しずつ疑問を感じ始めている。次男にサンタを信じてもらうために、我が家独自のローカル設定に組み込んでいる

例えば、
「サンタさんにプレゼントを連絡する手段は、送信したらデータが消えるメール」
「サンタは煙突がなくてもクリスマスツリーが飾られていれば、家の中に入ることができる。ダビデの星の御加護で。」
「ダビデの星の御加護により、サンタクロースはクリスマスの時間の流れを遅くすることができるので、世界中にプレゼントをくばることができる」
「サンタクロースに会ってしまうと、次に会うことができなくなる。一度姿を見てしまうと、サンタを感じることができなくなり、プレゼントも届かなくなる」など
次男はキリスト教系の幼稚園に通っていたので、ページェントの要素を絡めて説明すると納得してくれる。

これらを、次男に説明すると、そこそこ理屈が通る設定(?)なので、ちゃんと信じてくれる。次男は論理的に説明されることを好む。信仰心の揺らぎを正すことができた。ただ、次男はいつの日か、“真実“に辿り着いてしまうだろう。その時は、長男のいないところで“サンタの側にまわってもらうこと“をお願いする“スカウト“をしようと思っている。

自閉症児は、自分の世界を大切にしていて、他者のそれに関心を持たないことが多い。干渉せず、影響を受けない。長男もそうだ。だから、周りの子から“サンタの正体“を話されることはない。ちょっと悪いことへの誘いや、流行っているアニメやお笑いの勧めもないだろう。性の興味について“進んでいる“友達から手ほどきを受けることはないだろう。

長男は、いつまでもピーターパンのまま大人になるのだろうか。純心のままでいるのだろうか。サンタもそうだが、例えば、二次性徴はどう乗り越えたらよいのだろうか。

これだけ信じてくれる子どもがいると、“サンタはとてもやり甲斐がある“。今年も腕を振るうことができる。盛り上げて楽しませたい(とサンタは思っているらしい)。