ウチの子はサヴァンじゃない(多分)②

自閉症児の傾向と能力や才能の一番の違いは、自分でコントロールできないこと。困りごとの原因になることもあります

長男のそれは、視覚的な記憶力だ。以前の記事で紹介したが、一度見たものの記憶力が年相応のものではない。

  • 漢字やアルファベットが分からないのに、ハードディスクレコーダーの録画番組から
    文字とサムネイルだけで自分の見たい番組を探し出す
  • 電車の名前をすぐに覚える。それほど好きじゃないアニメでも、キャラクターの絵と名前が一致している。
    番組を見なくなってもずっと覚えている(きかんしゃトーマス、アンパンマン)
  • 遊びに行った場所と行き方をセットで覚える。電車の場合は、利用した路線や降りたホーム。
    車の場合は、曲がった交差点や高速利用の有無など

親が2人とも忘れているようなことを、長男は覚えている。記憶は、量と期間、両方の要素がある。「まだ覚えているの」と思わされることがよくある。
これらは能力というより、”こだわり”であり、困ることのほうが圧倒的に多い。自閉症特有のパターン認識を、視覚情報で行ってしまうので、手順がまるごと記憶されてしまう。時計とカレンダーを覚えた後は、タイムスケジュール、曜日や月まで記憶に加えられてしまう。次回同じことをしようとする際、制約になってしまい、本人も強いストレスを感じてしまう。

視覚的な記憶力に、今は振り回されている。ただ、長男に特有のものなので、これを長所にし更に能力へと昇華させてあげたいと思っている。その支援をしたいのだが、今のところ手立ては見つかっていない。長男はおそらくサヴァンではなく、決してアベンジャーズではない。困り事をせめて”短所”に、こだわりを”長所”にできるよう、親子で工夫をしたい。

今の長男にとって、視覚的な記憶力は困りごとの原因になっている。成長によって、自身の武器にできることを願っている


ちなみに、私にも自閉症の片鱗がある。かなり薄めではあるが、私にもちょっとだけ該当するものがある。私の場合は、”好きなものをしている時に、時間の感覚がなくなるほど集中できる”というものである。仕事でたまに使うことができるが、自分ではあまりコントロールできない。ハマると何時間でも資料を作成できる、のでコントロールさえできれば便利なのだが。友だちの家で漫画を読んでいる時、この”能力(?)”に気付いた。漫画を読み終えたら、友達がみな外へ遊びに行っていて、友達のお母さんに挨拶をして家へ帰った。漫画やDVDを見る際には、今でもこの感覚はやってくる。

自分でコントロールできるかどうか、ここが成否のポイントだと思う。

ドラマや映画の題材のように、特異な能力を持たない自閉症児にも居場所がある社会であってほしい