回顧録 テレビ

録画したテレビ番組へのこだわり。強固なこだわりを解消することができた

今になって思えば、何故あの頃苦しんだのか分からないことが沢山ある。気付くとその困り事は綺麗さっぱりなくなっていた。なぜなくなったのか、理由を考えず今に至っていることが山ほどある。

自閉症児の長男は、視覚的な特性がとにかく強く、テレビ番組の視聴に関して多くのこだわりがあった。ざっと、こんな感じだ。

  • 録画する番組の固定
  • 気に入った番組を視聴する時間帯が固定されている
  • 番組の中で繰り返し見る、お気に入りのシーンが決まっている
  • 録画した番組のデッキ内フォルダ保存方法が決まっている

テレビに関して多くのこだわりがあり、少しでもルーティンから外れるとストレスを感じてよく泣いた。テレビ及びDVDデッキは、親にとって細心の注意を払わなければならないセンシティブなアイテムだった。

解消が困難だと思われたテレビへのこだわりだが、今はかなり解消されている。

なぜだろう、あれだけ手を焼いたのに。

これといった理由が思いつかないのだが、掘り下げてみたいと思う。

どのような困り事があったか

とにかくルーティンが複雑で、そのルーティンを親が守ることはおろか、本人も守るのが大変そうだった。

テレビもデッキも電子機器なので、急に故障することやデータが消えることがある。こなイレギュラーは長男にとって想像を超える出来事であった為、パニックを起こしていた。

何が原因か

長男は、決まった動画を見ることで心の安定を図っていたように思う。知っているお気に入りの番組を見ることで、ストレスを感じずに済む。その為に、決まった録画番組を長時間見ていたのだと思う。

オンタイムの放送は、何が登場するか分からない。だから怖いと感じていたようだ。当時大好きだったEテレの番組は、オンタイム放送を”わざわざ見ず”、録画完了後に見ていた。同じような視聴方法を採っていた自閉症児が身近にいたので、これはよくある視聴方法かもしれない。

どれぐらい大変だったか

当時、長男は自分で録画予約をすることができなかったので、録画予約は親の役目だった。毎週録画などの機能を使っていたが、お気に入りの番組が多いので、対応が大変だった。又、特番によって放送されないことがしばしばあるので、番組が見られない理由を説明することがとても大変だった。ほとんどの場合、長男は癇癪を起して泣いていた。放送されない理由を理解できるようになったのは、かなり後だった。未就学期は特に大変だった。


どうやって解消したか

幾つか理由が考えられる。

①好きなテレビ番組が変わった。見たい番組の幅が広がった

見たいテレビ番組は結構変わった。直近では、1ヶ月の間でかなりコロコロ変わる程だ。興味の変化に対応する為、強固だったルーティンが”崩れてくれた”。

②テレビ以外のものへの興味も広がった

長男が好きなもので且つ自分が操作できるものがテレビぐらいしかなかった。今は、テレビの他に、パソコン、ゲーム、タブレットなど、他に好きなものがある。最近ではFireTVのリモコンも使いこなしている。①同様、幅が広がると、ルーティンはくずことができるようだ。

③知らないものに挑戦する意欲が身に付いた

以前は、知らないもの=怖いもの・不安なもの、だった。家庭や学校で、知らないものに挑戦し、結果的に「楽しかった」「面白かった」「おいしかった」という経験を積み重ねている。その為、同じテレビを見て安心感を得ている必要がなくなり、”知らないものを知ってみよう”と思えるようになった。

④成長

①~③を含めて、”本人が成長した”ということになるのだが、周囲のサポートと本人の努力で、長男は多くのことができるようになった。他の苦手克服やルーティン打破同様、成長によって”変わってくれた”のだと思っている。

自閉症児の興味の幅は狭く、新しいことに好奇心を持ちにくいと聞く。長男がブルーオーシャンに打って出てくれたことをとても嬉しく思う。我々も、スカパーを契約する、タブレットを買う等、多少の投資をしている。長男が変わってくれたことに比べたら安いものだが、やはり何かしらのきっかけは必要だと思う。興味の幅を広げるため、子どものことをよく見て、好奇心の芽が出ていないか見守る。

成長は遅いが、確実に成長している。見守ろう。

好きなものがたくさん増えた


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