会社での就業の難しさ 後編

他者と関わる際に足りなさを痛感させられる

会社での生き方に慣れ、自分なりの“攻略法“をなんとか見つけた。試行錯誤によって、長所の活かし方、欠点の隠し方を身に付けられるようになった。周りの“普通の人“と比べたら気力と体力を要するが、人並みのことが出来る術は見つかった。

ただ、苦手なまま克服できないものはあった。

それは、人に合わせることと人を管理することだった。長男のように濃い自閉症ではないので、ある程度他人の考えを想像することは出来る。でも精度は低いらしい。どうやら気苦労も多いようだ。私は自分が辛い分には平気なのだが、他人が辛くなることは苦手だ。理由は、どの程度苦労するのか正確に推し量ることが出来ないからだ。その為、仕事を分け合って担当することが苦手だった。進捗のペースが合わないこともストレスになった。マネジメントになるとより難しい。ただでさえ他人のことが分からないのに、自分がリーダーを務める際にはどのように差配したらいいのかまるで分からない。自分の努力だけでは克服できないので、現在進行形で悩みの種になっている。


今のように、ある程度自分のことを早い段階で分かっていたら、最初から自己完結可能な仕事に就くことを考えていただろう。

就職前だったら希望職種や業界を絞っていただろう。高校生だったら、研究職に就く為には理系を選ぶことや専門学校の進路を考えたかもしれない。もっと早い時期に特性が分かっていたら、自分の将来の仕事を決めて逆算した進路を考えられた。

自閉症に関して、早めに特性を知ることが大事だと言われているが、自分に当てはめてもその通りだと感じる。

自分の気質で救われるのは、あまり周りのことが気にならず、人は人で自分は自分と割り切れることだ。以前の私は常に周りと比べていたが、「私はアスペルガーなのかな」と意識して以降はほとんど比べなくなった。


私には私の生き方があり、幸せがある。1/1の人生を生きることが、自閉症とその周辺に生きるものが幸せを掴む鍵だと思っている。