もし妻が働いていたら 前編

結論から言うと、妻が専業主婦でよかったという話だ。

もし妻がフルタイムで働いていたら、長男は療育を受けられず、またウチは家を失っていたかもしれない。

妻は知り合った頃から、仕事に対するこだわりがなかった。結婚を機に仕事を辞め、出産した後は仕事をしていなかった。子どもに手がかからなくなったら働く気があったかもしれないが、彼女はあまり仕事に思い入れがなかった。私にはそう感じられた。

長男が自閉症だと判り、以後妻は専業主婦を続けている。もし妻がバリバリ仕事をしていたら、療育を受けることはできなかった。
フルタイム勤務では、送り迎え出来ず、また所得制限でふるい落とされていた可能性があった。
未就学の頃の心労を思い返すと、とても仕事しながら長男に対応するのは無理だったと思う。

悲しいかな、私も出世コースに乗っていなかったので、膨大な業務量や転勤を必要とする昇格異動と無縁だった。
おかげで、子どもに向き合う時間を確保できた。結果的に、私には向上心がなくてよかったと思う。

また、もし共働き前提でローンを組んで家を買っていた場合には、マイホームを手放す憂き目に遭っていた可能性がある。
シングルインカムでは毎月のローン返済が不可能になるケースがあり得る。私の友人は、奥さんと合計した所得を前提として、都内に家を購入した。世間で言われるパワーカップルというものに近い。
共働きが前提の生活設計をした場合、もし子どもに何らかの介護介助が必要になった時には生活の基盤そのものが崩れる。

更に、もし私が単身赴任せざるを得ない事態になっていたらどうだっただろうか?
長男に手をかけていたかもしれない最悪の事態まで想像できてしまう。かなり追い詰められ絶望した時期はあった。
その当時は、今のような安定した日常を想像することができなかった。
ウチはかなり幸運だったと思っている。

後編