痛覚が変 〜痛いのは苦手?敏感鈍感どっちなの?

自閉症の長男は、感覚が過敏だ。いわゆる自閉症の特徴ほどではなく、生活に支障があるほどではないが、視覚や温度感覚、肌の感覚がやや過敏だ。服のタグは必ず取っている、ジャージ素材の服は着ない、ハーフパンツは履かず常に長ズボン、これらのこだわりがある。服にかなりの制約があるなど、もっと過敏な方は沢山いる。感覚過敏は自閉症の特徴の一つだ。長男にも例に倣い、前述のような過敏さがある。

そのなかで、やや困るのは痛覚だ。痛みに弱い。なかでも注射が最大のNGで、予防接種ができない。インフルエンザの流行期間はいつも不安だ。また、連れて行ったことはないにもかかわらず、歯医者がNGだ。大人でも苦手な人がいるような治療は、だいたい拒否される。

全ての痛みに弱いかと言えば、そうでもない。グラグラする乳歯を自分で引き抜く。その場面に何度立ち会っても驚かされる。乳歯の根っこが見え始め、グラグラし始める段階を迎えると、長男は自分で歯をつまみ力づくで乳歯を抜く。出血することがあっても、気に留めない。淡々とした様子でミッション(乳歯を抜く)をこなす。痛みに顔を歪めるようなことはない。歴戦の兵士のようだ。痛みに鈍感ということはない。乳歯とはいえ、多少の痛みはあるはず。自分で歯を抜くのは、なかなかの荒業だ。小さいランボーのようた。

病院を怖がる姿、無表情で乳歯を引き抜く姿、長男の真の姿はどちらなのだろう。痛みには強いのか弱いのか。他のことでも感じるが、感覚のチューニングがおかしいな、と思う。過敏なだけでなく、敏感鈍感の設定がいびつなことも自閉症の特徴なのだと思っている。

スタローンかシュワちゃんのような彼が、大人の歯を抜いてしまわないように気を配ろうと思う。