[初]放課後、友達と遊ぶ

全2回 前編

自閉症の長男は、過去にはできなかったこと・想像すらできなかったことに、次々と挑んでいる。今回紹介することもそんな事例の一つだ。

長男は、下校後の時間をとても大事にしている。主な過ごし方は、スマホやゲーム、テレビ等なので、大して重要なことをしていないのだが、自分の自由に使えるこの時間を大事に思っている。そのため、これらの時間が少なくなることを極度に嫌う。

そんな長男が、放課後に友達の家へ遊びに行った。事前に約束しておらず、その日の学校で取り交わした約束だったので、妻はとても驚いた。

「◯◯君の家へ遊びに行ってくる」

妻は急にこう言われた。長男が友達の家へ遊びに行くのは、人生初だ。人生初の出来事が急に起こったのだ。

きっかけは、支援級でお友達に誘われたことだと本人から聞いた。お友達から誘われると、長男は二つ返事で「いいよ」と答えたという。学校外のことで友達と約束したのも、人生初だ。帰宅後、自分のカバンに任天堂スイッチのコントローラーを入れて出かけた。“フツー”の子が遊びに出かけるように、自然な感じで家を出た。

こんな日が突然やってくるとは。全く想像していなかった。

後編に続く。

これをカバンに詰めて、急いで家を出発する長男