自閉症の投薬治療

ウチの長男の場合

親が自閉症と向き合う上で、”自閉症という事実を受け入れる”ことの次ぐらいに大きいものが、”投薬治療を受け入れる”ことだと思う。事実、ウチでも薬に関して、妻は少しだけ抵抗があったようだ。私は20年近く心療内科に通院しており投薬治療を受けているので、拒否反応はなかった。それを妻にも話し、すんなりと投薬治療を受けることに決まった。

世間一般においては、決して弱くない抵抗感があると思う。
言葉が適切ではないかもしれないが、「わが子が一線を越えてしまう」ような感覚を覚えるのだろう。
私が健康な夫であったら、妻の抵抗感はしばらく続いたかもしれない。

結果として、早めに投薬治療を初めて良かったと思っている。
今では長男が食後に薬を服用すること、朝昼夜の種類と錠剤数を理解している。

今回は、長男が服薬する薬の種類と投薬治療後の変化を紹介したいと思う。

ヒルナミン

効用
脳内の神経伝達物質(主にドパミン)の受容体を遮断することで、幻覚や妄想、概念の統合障害、躁状態、強い不安感や緊張感などの精神状態を安定させる作用があります。通常、統合失調症、躁病、うつ病における不安・緊張の治療に用いられます。

くすりのしおりHP より

一番長く服用している薬だ。
ストレスや不安の強さ、身体の成長によって、錠剤数や服用のタイミングの微調整が行われ、今に至る。
幾つかの薬を試したが、長男には一番合っていると判断されたのがヒルナミンだ。服用当初は、注意書きにあるように、ボーっとする、眠気を訴えるなどの副作用が現れた。ただ、副作用は薬効と比べるととても小さく、次第になくなっていった。

リスペリドン

効用
中枢神経系に作用するドパミンやセロトニンの機能を調節して、不安、緊張などの症状をしずめ、精神の不安定な状態を抑え、気力や関心のもてない状態を改善させます。通常、統合失調症、小児期(原則として5歳以上18歳未満)の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に用いられます。

くすりのしおりHP より

リスパダールとも呼称されている薬で、長年服用している。副作用にはふるえや不眠など怖いことが書かれているが、長男にはこれらの副作用は現れなかった。

この薬を検索すると、「太る」というキーワードが出てくる。太る副作用はないのだが、長男はこれにあてはまっている。おそらく、不安が解消されて、食欲が出るためだと思う。以前はかなり食が細く偏食がひどかった長男は、ヒルナミンを含めた服薬によって安定し、食事が好きになった。食べ物を美味しく感じられるようになった、と本人が言っていた。


薬を拒絶なくてよかった、と心底思っている。薬によって我が子が安定するのであれば、親は抵抗感を捨てるべきだ、というのが私の考え方だ。子どもが楽に生活できることを第一に考え、それが投薬治療であれば受け入れるべきだと考えている。

もし今まさに投薬治療の決断を迫られている親御さんがいたら、あまり抵抗感を覚えず、『とりあえずやってみるか』と軽めに捉えて欲しいと思う。

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