ヨソの自閉症はタイプが違う
自閉症は十人十色 困り事は皆違う
妻が療育時代のママ友達と久しぶりに長電話したらしい。その友達のお子さんも自閉症なのだが、療育の頃からウチとはタイプが違っていた。自閉症スペクトラムの特徴が色濃く出ている子で、記憶力や語彙力が高い分、コミュニケーション能力や周囲の状況を確認する能力が低い、など、グラデーションの濃さがあった。得意分野が功を奏して、知能指数が高かった。
療育を終えて約5年、我が子の成長度合いや今の困り事について話をしたようだ。お互いの家庭の困り事を、大いに愚痴ったという。
その子は、療育時代のグラデーションがさらに濃くなったようだ。医学法学の難解な語彙を使う、趣味の機械いじりがより高度になる、など、好きなことはより深化したらしい。反面、苦手だったコミュニケーションは以前苦手なままであり、加えて文字を書くことや親にべったりで離れられない、などの、新しい困り事を抱えているという。文字については、自己肯定感を損なうので書くことをやめさせているほど困っているという。
我が家は、療育のクラスメイトだったその子の得意な領域をギフテッドだと思って羨ましかった。これといった得意分野を持たない我が子と比較し、「得意なことがあっていいな」と思っていた。お友達の話を聞くと、際立って得意なことがあっても、グラデーションやバランスを欠くと大変だと知った。せっかくの長所を活かす前提が整わないとケースがあり得るのだと知った。
我が子には、これといった得意なものがない。ただ、こだわりは緩めであり、チャレンジを嫌がらない、性格は明るく真面目、コミュニケーションが好き、というこれらの特性が、学校生活によってできることを増やしている。突出した得意分野がない分、面倒なこだわりがなく、能力のバランスが取れている。知能指数と生活のしやすさは、自閉症児においては必ずしも比例しない。
妻から話を聞き、
私の自閉症知識は1/1でしかないものであり、我が子に関係する領域しか知らないこと
自閉症児のタイプは千差万別で、一人ひとりまるで違うこと
を改めて知った。ウチのノウハウはお友達の家庭では活きない。逆も然りだ。共通の処方箋かないことが、自閉症に対応する難しさだと思う。
お友達の子の困り事が緩和されることを願い、世の親御さんの苦労が和らぐことを祈りつつ、自閉症の研究が更に進み皆の困り事が緩和される未来を願う。