服薬(1)

自閉症の長男は、未就学の療育期から薬を服用している。長男の場合は、自分に合った薬を見つけるために、色々試した。小学校へ進学して生活リズムが整った頃、今服用している薬でほぼ固定された。長男は不安やストレスを軽減させる薬を服用している。

服薬を始めたのは、療育期(幼稚園でいう年中さん)だ。療育の教室が病院を兼ねている施設だったので、家庭や教室の様子、日々の困り事を鑑みて投薬治療を勧められた。

薬をのんでいなかった頃の長男は、かなり痩せ型だった。しっかり食べていても太らなかった。かんしゃくを頻繁に起こしていた。笑顔が少なく、普段から緊張した表情をしていたと記憶している。

投薬治療を開始するにあたり、確認されたことがある。

薬による治療に抵抗はありませんか?

私が長年うつ病の薬を服用しているので、抵抗は全くなかった。妻は、私に「どう思う?」と聞いた。決めかねて意見が欲しかったようだ。お医者さんの問いかけに、少し戸惑ってしまったようだ。私は薬を使用することに100%賛成だったので、「長男の不安がなくなるなら絶対やるべきだ」と答えた。

どうやら世の中の親御さんは、投薬治療にかなり抵抗があるようだ。

お医者さんから提案されて、頑なに拒否する親も一定数いると聞く。我が子が“一線を越えてしまう“という感覚があるのだろうか。

そんなことはない、と断言できる。

薬によって生活が改善されるのなら、薬に頼るべきだ。

副作用やリスクは、プロであるお医者さんが考慮してくれる。

何より強く思うことは、

薬によって不安や問題行動が解消されると、生活が劇的に改善される。
だから、薬に“甘え“、“身を委ね“てもいいと思う。

30年近く薬をのみ続けている私が、人生を通じて思うことだ。薬で困難が解消し、副作用がさほど大きくないのであれば、薬効に頼るべきだと思う。

子どもの投薬治療を嫌がるのは、親として嫌だから、という想いがある。子どもの立場には立ったいない。薬によって子どもが楽になれるのならば、親のエゴは引っ込めて投薬治療を受けるべきだ。子どもの苦しさを排除することを、親は何より優先させるべきだ。

服薬を初めて以降のことは、次回分で書きます。