空気を読む 前編
出来ない人からすれば、超能力に近いこの能力。自閉症の人は空気を読むことが苦手だ。
空気を読む
その場の雰囲気を察すること、暗黙のうちに要求されていることを把握して履行すること、などを意味する表現。
Weblioより引用
日本で生きていく上で、空気を読む能力はは必要不可欠だ。空気を読めなければ、円滑な人間関係を構築出来ない。仕事で支障をきたす。日本人であれば、成長の過程において皆自然に習得する能力だという。
自閉症児はこれが苦手で、その概念自体が理解できない。グレーゾーンの人の困りごとの代表事例だ。私も空気を読むことが苦手だ。苦手を自覚しているので、神経を研ぎ澄ませて読み取る努力をしている。「空気を読むべき場面だなぁ」と思ったら、動かない喋らないを心掛け、“ボロがでない“ように腐心する。集中すれば、おおよそ空気を読むことは出来る。練習の賜物だ。それでもたまにポカをしてしまう。苦労なく空気が読める人は凄いな、と心底思う。
自閉症の長男は、空気を読めない。というよりも、最初から合わせようとする意思がない。家族内で話が盛り上がっている時、全く関係ない話題を話し始める。自分しか見ていないテレビや動画の話を、前置きなく話し始める。怒られている時、さらに怒らせるようなことを口にしてしまう。自閉症の特徴的な傾向として、可視化されていない情報や状況の把握が苦手だ。その為、構造化による支援がなされる。空気を読むことを求める環境は、自閉症の人を苦しめる。海外にはない、日本人独特の困り事だ。
出来ない人にとって、空気を読むことは本当に難しい。出来ない人間にとって辛いのは、出来ないことの苦労が出来る人に伝わらないことだ。困っていること、苦労していることを理解してもらうことが難しい。妻と話していて、よくこれを感じる。
そんな“超能力“に近い、空気を読む能力。長男に空気を読むことを求めていなかったが、長男に変化が見られるようになった。後編へ続く。