健常者との埋められぬ差 後編

前編では薄い自閉傾向を持つ私の話を書いた。長男の話に戻す。

長男が仕事において、完全な形で健常者の社会で生きていくことは出来ないと思っている。オフィスで働いたり、対人の仕事をすることは難しいだろう。ただ、長男には視覚的な記憶力と驚異的な集中力、ルーティンを確実に守れる規則正しさがある。これらを活かして仕事出来れば、幸せな未来を切り拓くことができるのではないかと思っている。

長男は、かなり早い段階で特性を把握できた。長男の場合は、3歳で自閉症児であることを知ることができた。以後、何が苦手なのか、どうすればストレスを感じずに済むのか、先生とお医者さん、親の間で意思疎通を繰り返しながら現在に至る。ウチは、10年近い期間を対自閉症戦線に費やしている。そのため、それなりの経験値を積むことができた。小中高で自閉症と診断されるケースに比べ、知識と経験の習得と将来のシミュレーションができている。

ウチが幸運だったのは、“早く気付けた“ことだ。

今のところ、長男の強みを活かす方法は思いつかない。元々、自閉症の強みを活かせるのは、芸術や研究、一部の職人仕事ぐらいで、選択肢は多くない。長男には今のところ、そのような才はない。できることなら自閉症の強みを活かして人生を切り開いてほしいが、そんなことをできるのは自閉症の中でも一握りの人だけだろう。

長男は毎日笑顔で学校に通っている。将来、今と同じ笑顔で仕事していることを願っている。親として全力で支える。自閉症の本人と家族が毎日笑顔で居られることを身をもって証明してみせる。