我が子が自閉症 職場でのカムアウトについて

「うちの子どもが自閉症なんです」などと基本、職場で皆に知らせる必要などない。知らせたところで、何一つプラスがないからだ。ただ、知らせる必要があるケースが2つある。対人事と、対上司(&職場)だ。

人事に対しては申請する必要がある。我が家の場合もそうだが、長男が療育手帳を発給されている場合は、障害者控除の対象となる。27万円の控除を受ける為に、会社へ書類を提出する必要がある。自閉症に拘らず、人事は障害者控除の対応に慣れているので、相談や提出時に変な対応をされることはまずない。

問題は2つ目だ。上司に言っておかなければならないケースは、家族事情を優先させて年休を取得しなければいけなかったり、出張に制約条件が付いたり、他の人と同じ”就労ができない”もしくは”突然の命令に対応できない”場合は、言っておくべきだろう。私は1年前、今の会社へ転職したのだが、履歴書に長男のことを書き、面接においても”事前の家族調整が必要”な旨を伝えた。
担当業務によって、突発の度合いは異なると思うが、「明日××へ出張してくれ」「○日は日曜日だが、休出してほしい」「今晩急な接待をしなければならなくなったので、同席してくれ」 このような指示は、日常的に起こるものだろう。自閉症児の状態によるが、前述の突発に対応できない時、”子どもが自閉症なので”という文言なしで、前述の業務指示を断ることは難しいだろう。上司の信頼を損なう可能性は高い。このような事態を想定すれば、ある程度のカムアウトは必要だと思う。

私の場合はこんな感じだ。長男は予定の把握をカレンダーで行う。”学校のない土日は、父親が家に居る”と強くインプットされている。その為、土日の休出や、土日にまたがる出張に対応することができない(※2020年になってから、このルールが緩和されつつあり、私が土日に家を空けることを容認できるようになった)。その為、上司や同じ部署のチームには前もって”伝えておく”必要がある。
私は、”長男に発達の遅れがある”と伝えた。自閉症や発達障害というワードは、当事者でない人にはやや重たく、「身構えさせてしまう」「いらぬショックを与える」「過剰な反応を助長してしまう」という妻のアドバイスを受けて、”発達の遅れ”という定型句を使いまわしている。

「発達に遅れのある長男は、急な予定で混乱してします。可能であれば、予定変更を早めに伝達頂けると助かります」
などと伝えておくと、配慮してもらいやすくなる。仕事なのですべてのケースにおいて配慮してもらうことは無理だが、家庭の制約条件が多ければ多いほど、職場にはしっかりと伝えておくべきだ。
個人的には、隠して得なことは何もないと思っている
私で言えば、長男の自閉症を秘匿したまま仕事をすると、どこかで”辻褄が合わない”対応や言動をせざるを得なくなる。どこまでの人に伝えるか、熟慮した上でカムアウトをすることを、個人的にはお薦めする。