24時間テレビ

今年も24時間テレビが放送されていた。
この番組は、今や夏の風物詩だ。
この番組が終わると、夏休みが間もなく終わると認識する。

今回、私は一度も見なかった。以前は少しだけ見ていた。長距離が趣味だからだ。
他の人の走力やサポートスタッフがどのようなケアをするのか(テーピングの巻き方や補給する栄養素など)、これらに興味があったので見ていた。長距離を愛する者としては、この番組のような万全のサポートを受けて100キロ走ってみたくなる。結構羨ましい。
昨年からリレー形式になったので、完全に見なくなった。

24時間テレビが取り上げるディスアビリティは、主に身体が重度の知的障がいの方だ。つまり、視聴者が“一目で分かる“障がいだ。更に、本来であれば、彼らや家族が抱える困り事や悩み想いに視聴者が触れ、障がいに対する理解を深めるきっかけにするべきなのに、障がいのある方に非日常的なことに挑戦する様子を伝える。感動はするのかもしれないが、障がいの啓蒙には繋がらない。

安い感動を提供して視聴率を上げようとする打算を感じ、覚めてしまう。
もっと崇高な使命を帯びて番組を作って欲しいと思ってしまう。

ちなみに、私は24時間テレビには相当な額の募金が集まるので、番組の存在意義はあると思っている。これからも続けるべき番組だと思っていて、視聴率がゼロになったとしてもやるべきだ。ただ、番組の作り方は拙いと感じる。安易な感動狙いは、安っぽい。もっと高尚な番組作りに努めて欲しい。

自閉症の家族を支える身からすると、番組が取り上げるディスアビリティには偏りがあると感じる。社会的な関心の高い、自閉症(発達障がい)はスルーだ。精神疾患もスルー。
番組は、“一目で分かる“障がいのみを取り上げる。番組サイドがステレオタイプの障がいに凝り固まっている印象を受ける。

私がこの番組を見ない理由は、『ウチには関係ない内容なので見ない』だ。
障がいを持つ家族がいるのに、関係ないと感じるのだ。確かに、ウチの子は、側から見たら健常者と何も変わらない(身長がかなり高いことを除けば)。でも、困り事は多い。生活の苦労はかなりのレベルだ。車椅子の方が出かけられる旅行を、ウチは体験したことがない。

『困っているのに、我々は支えてもらえない』 
そう感じるので、番組を見ない。

ただ、自閉症の長男は、今年初めて24時間テレビを見た。
深夜の「有吉の壁」だ。録画して、日曜の早朝から見ていた。次男も見ていた。『有吉の壁が急に放送された。しかも3時間も。超ラッキー!』と言っていた。

長男は初めての24時間テレビを堪能していた。壁芸人への理解をますます進めた、長男の初24時間テレビだった。