自閉症と近視 ②
視力の低下は覚悟していた。長男の好きなことは目を酷使するものばかりだからだ。喃語の頃からテレビを凝視していた。テレビは一日6時間近く見ている。根拠のない“目が悪くならない“という思い込みは、長男の超人的な何かを暗に期待していたのかもしれない。映像に執着する自閉症児は多いと思う。
同じ轍を踏まないよう、参考にして欲しい。今回は第2回目。
第2回 目の酷使
■テレビとの付き合い方
好きなテレビ番組を繰り返し見ることは、長男にとって一種の精神安定剤になっている。テレビを見ることで心を落ち着ける。毎日のルーティンになっている。毎朝5時半に起き、登校する7時半までの間、ご飯と着替えの時間を除くとずっとテレビを見ている。
下校後は、ゲームと動画の時間を除けば、ほとんどテレビを見て過ごしている。最近は読書やパソコンをする時間が出来たものの、圧倒的に長いのはテレビを見る時間だ。
長男はテレビを見ることで下記のようなものを得ている。
- 好きな映像を見ることで安心しリラックスできる
- 見たことのない映像に好奇心をくすぐられる
- 自分の知らないこと、興味のあることを映像から知る。興味が湧いたら調べる
テレビは多くの役割を担っている。
療育期のテレビ視聴
今はゲームやスマホなどデバイスが豊富だが、当時視聴できるコンテンツはテレビしかなかった。家に居て、起きている時間は殆どテレビに費やしていた。テレビを見る理由は、前述の安心・安定だ。これは今と変わっていない。
当時、長男はどれだけテレビを見ても目の疲れを訴えなかった。なぜ目が疲れないのか不思議だったが、実際には目を酷使していたのだろう。疲労の感覚がなかった、あるいは、親に疲労を訴えなかった、だけではないかと思う。自閉症児は自分で疲労感が掴めない、と聞いたことがある。視力の低下はこの頃から始まっていた可能性がある。
今思えば、この頃ならば打ち手があったと思うが、当時の長男の不安定さを考えたら、テレビ視聴を制限するというアクションは不可能だった。視力の低下よりも日々生きることで精一杯だった。
■ゲーム(任天堂スイッチ)との付き合い方
任天堂スイッチを買った1年前から始まった習慣だ。最初の頃は、ゲーム中毒など“どハマり“することを懸念していたが、思ったほどプレイ時間は長くなく、且つ管理できている。
一日45〜60分の制限時間を必ず守っている。かつて高橋名人が提唱した制限時間を守ることができている。加えて、目の酷使を少しでも抑える為、テレビに投影してプレイするように指示している。今のところ、ゲームは視力低下に大きく影響していないと思う。
■動画(iPad等)との付き合い方
最近一番の課題は、スマホ・タブレットの長時間動画視聴だ。YouTubeを見始めると、一日の制限時間の約束をなかなか守ってくれない。タイマーで時間の管理をしているのだが、タイマーを途中で止める、タイマーが鳴っても視聴を止めない、など、ルール破りをしてしまう。”スマホ中毒”という言葉が定着して久しい。健常者でも止めづらいものなので、自閉症児にとっては容易に止められるものではないのだろう。
また、スマホやタブレットの良くない点は、目の近くに画面を置いてしまう点。目から数十センチのところに画面があり、しかも凝視する。目が悪くなる要素しかない。
直近の生活習慣で、視力低下の直接原因になっていると思われるのは、YouTube等の見過ぎだと思っている。何らかの対策が必要と感じており、最近機器を購入した。
このように、長男の生活習慣には目を酷使するルーティンががっちりと組み込まれている。このルーティンによって安心・安定を得ているので、止めること減らすことは難しい。時間や機会を減らすことができないのであれば、せめて影響度を下げる対策を取ろう。
次回は、我が家の涙ぐましい対策を紹介したい。