嘘をつくとき
長男は悪いことができない純真な子だ。しかし、嘘はつく。でもその嘘はすぐばれる。少し追及すると、すぐに「ごめん。嘘ついた」と言う。
自閉症児は、基本的に相対的な価値観を重要視しない。その為、人をおとしめたり妬んだり攻撃しない。100%ではないと思うが、他人を下げるような行為をする自閉症児を見たことはあまりない。長男も例に倣い、お友達には親切100%か、我関せず、いずれか対応をしている。友達に対して嘘をつくことはない。
長男が嘘をつくのは、大人に対してのみだ。シチュエーションは、決まってお約束を守れなかったときだ。
先生に対しては、基本嘘をつかない。嘘をついたことが先生を困らせてしまうと理解しているからだ。宿題を忘れる、任されていた役目を忘れる、このようなとき先生に注意されることがあるが、嘘はつかない。言い訳はするらしい(一生懸命言い訳して、自分に非がないことを説明するらしい。思考の鍛錬とその様子の可愛らしさで、先生は敢えて注意しないようだ)。
支援学級には嘘をついてしまう子が居り、長男が『悪いことをした』と嘘の告げ口をされ、悔し泣きをしていたことが何度かある。されて嫌なことはしない、と思ってくれているようで、弟を悪者にする嘘はつかない。ここまではとても立派だと思う。
親に対しては、たまに嘘をつく。シチュエーションは、決まってYouTubeの視聴時だ。YouTubeに関しては、一日〇〇分、という決まりを設けて、タイマーをセットすることにしている。平日は45分という約束なのだが、本人はもっと見たいのでこのタイマーに不正な操作をする。
タイマーを途中で止める
タイマーが鳴っても視聴を続ける
そもそもタイマーをセットしていない
”悪行の限り”をつくす長男。お灸を据える役は私。”現行犯逮捕”に関しては、長男は素直に罪を認める。ただ、「明らかに視聴時間が長い。途中でタイマーを止めたのではないか。もしくは、タイマースタートした時間は視聴よりもあとなのではないか」というケースについては、長男は申し開きをする。この時に長男は嘘をつく。
しかし、この”犯人”、すぐに犯行がばれる。それは、嘘をつくときに必ず“ホントにホントだよ”という。本当であること、自分が正しいことを強調するときの言いまわし被疑者て嘘がバレる。”被疑者”に一歩踏み込んだ”尋問”をすると、すぐ「ごめんなさい」という。嘘を付けない素直な性格なのだ。
なんとか頑張って自分なりに理屈を組み立てようとするところ、結局は素直な心を持っていることが可愛らしくて、注意はするが厳しく叱らずに終わる。
これでいいのだろうか?
「嘘はいけない」と厳格に叱るべきなのだろうか?
今のうちに芽を摘んでおかないと、よくない育ち方をしてしまうのか?
将来嘘つきになってしまう恐れがあるのであれば注意しなければならないが、、、。”刑事”としてどうするべきなのだろう。
ちなみに、嘘がバレる時のあたふたした表情や動きはコミカルでとても可愛らしい。私は”刑事失格”なのかもしれない。