長男はオリンピック騒動を知らない
長男のテレビの見方は変わっている。基本ら自分の好きな番組しか見ない。しかも録画してから見る。その為、世の中の情報をテレビから知ることはない。流行やニュースも知らない。長男にとっては、新型コロナウィルスの情報ですら人から聞いたことしか知らない。もちろん、オリンピックのことも知らない。
長男のオリンピック知識は、任天堂スイッチからオリンピック関連のゲームが2タイトル出ていることぐらいだと思う。マリオとソニックが登場するスポーツ大会=オリンピック、と思っているかもしれない。いつ開催されるか知らない。開催地が東京であることも知らないだろう。仮にオリンピックが開催されることになったとしても、長男が大会期間中にオリンピックのことを知る機会はないだろう。機会があるとしたら、支援級の友達や次男からオリンピックの話を聞くぐらいだ。長男は自閉症児の中では社交的なタイプなのだが、それでも外へと興味は少ない。自閉症児の興味はそれ程内向きなのだ。
オリンピックを知らないのだから、当然開催是非について怒ることもない。自閉症の人は、直接自分と関係しないことで争うことはない。外出自粛しない人、五輪開催に賛成する人、上級国民と揶揄される人に怒りをぶつけることはない。そもそも自分に影響がないなら、他人のすることに怒りを感じない。興味がない。ヒトはヒト、自分は自分なのだ。
羨ましい生き方だと思うことがある。私も自閉症の因子を持つ者なので他人にあまり興味がないが、自閉症の人たちのように突き抜けてはいない。他人と争わない志向はとても羨ましい。
長男も自分に関係ないことで怒ることはない。今日もマスクをつけ、手洗いをして、先生や親の言うことを守る。他人を妬むことはない。恨むこともない。国内でいがみ合う様や特定の外国を敵視する様を見ていると、自閉症の方が幸せなのではないかと思ってしまうことがある。健常者って、本当に幸せなのかな。どちらの思考も分かる私は、分からなくなることがある。より進化した人類はどちらなのだろう。