自閉症児の気遣い 前編
他人の気持ちを理解できない。
これは自閉症のという特徴的な傾向である、とされている。
自分と同じような感情を他人も抱くという想像ができず、他人の感情を推察できない。
気遣いは苦手、もしくはできない。
当該家族は、概ね自閉症をこのように捉えているのではないか、と私は思っている。
ウチの長男にもこの傾向はあてはまる。親に対してだけではなく、次男に対して顕著に現れる。
自分がされたら嫌なことを(弟に)してはダメ
これをなかなか理解できない。
次男は、お兄ちゃんの“横暴“に対して、いつも我慢してくれている。
次男には感謝している。
長男は他人に対してすべからくこのスタンスを取っているだろう、と私は思っていた。
しかし実際は違うようだ。
長男はクラスメイトに対して気遣う素振りを見せるという。
『大丈夫?』
『良かったね』
『頑張ろう』
支援級のクラスメイト、とりわけ下級生に対してこれら労いの言葉をかけるという。
長男には家とは違う姿があるようだ。長男は気遣いができるのだろうか。
もともと長男には、普通級のクラスメイトと適度な距離を取って接するバランス感覚がある。
自分のホームグラウンドである支援級以外での長男は、良くも悪くも“自分の立ち位置“を理解している。
興味関心が周りに向かわないとされる自閉症の傾向は、全て長男にあてはまる訳ではない。
(後編へ続く)