自閉症児の減量チャレンジ(1)
長男は体が大きい。まだ小学6年生なのに、身長は170cmを突破、体重は70kgを超えている。やや体重が多いので少々ぽっちゃり体型だが、体つきはがっちりしている。肩幅が広く、厚みもあるので、ラグビー選手や柔道家のようなシルエットをしている。ただ、筋肉はあまりない。
長男はの服は私よりも大きい。サイズはXL。私のお下がりを彼はもう着られなくなった。
長男は小さな頃から体を動かすことを嫌がっていた。家の中の短い距離であっても、移動したがらない。なるべく体力を使いたくないようで、ソファーで横になってダラダラ過ごすのが大好だ。ソファーに横たわる彼は、まるで日光浴に勤しむアザラシだ。
最近そのアザラシ君が急に体を動かすようになった。テレビやゲーム中心の生活は変わらないが、テレビなどを楽しみながらバランスボールやインナーマッスルを鍛える器具を使っている。ちなみに、これらの器具は正月の帰省時に、実家でもらったものだ。体を動かすようになったのは良いことだ。ただ、そのきっかけはちょっと変わったものだった。
長男の意識を変えたきっかけは、日テレで放送されている「世界仰天ニュース」の1コーナー、
「仰天チェンジ」だ。
長男はもともと世界仰天ニュースが好きで、毎週視聴している。
年末年始特番で放送された「仰天イケメンチェンジ」を見て、長男にダイエットという概念が刷り込まれたようだ。
太ってしまった経緯の映像が面白いらしく、繰り返し見ている。番組に感化されたのか、
長男が『痩せたらイケメンになるかな?』と言うようになった。少し前から、食べ過ぎによる体重増を気にした妻が、長男に『痩せたら昔のイケメンになるよ』と言って自制を促していた。
ちなみに、小学校入学頃の長男は痩せていた。男の子だが、やせていた時の顔は吉岡里帆にちょっと似ていた。妻はその頃の写真(吉岡里帆似)を長男に見せながら『イケメンに戻ろう』と言って運動させようとしていた。
数年前、長男が痩せていた原因は、不安とストレスが高レベルで食事習慣が整っていなかったことだ。不安を感じることが多すぎて、ちゃんと食事できていなかった。だから、今の長男がふっくらしているのは、楽しく安定した生活を送れている証だ。幸せ太りの一環だと思う。
世界仰天ニュースの企画と妻のこのアドバイスが紐付いてしまった。
痩せたらイケメンになる、イケメンになりたい、が強く意識付けられてしまった。
長男は、面白がって再現VTRの運動に取り組むようになった。家の中を歩き回ったり、スクワットをしている。痩せたいから、というよりも、面白いから真似をしているような感じだ。
図らずも、長男は運動習慣を身に付けつつある。長続きしてもらいたい。