回顧録 スニーカー
今になって思えば、何故あの頃苦しんだのか分からないことが沢山ある。気付くとその困り事は綺麗さっぱりなくなっていた。なぜなくなったのか、理由を考えず今に至っていることが山ほどある。
自閉症児がこだわるものの一つに、衣服がある。オシャレにこだわる、という意味ではなく、特定の服以外を着たがらないというこだわりがあり、そのこだわりによって不自然な印象を周囲に与えてしまうことがある。今の長男には、学校では長ズボンでないと嫌だ、というこだわりがある。ハーフパンツや7分丈は嫌なのだという。ちなみに、体操着のハーフパンツは嫌がらない。学校に通い始めてから始まったこだわりなのだが、自分なりのポリシーや羞恥心が根っこにあるようだ。
すでに長男が克服したこだわりの一つが、スニーカーだ。マジックテープタイプの靴しか履くことが出来なかった。今回はこのこだわりを取り上げる。
どのような困り事があったか
長男は足の甲が高く、幅があったので、乳児期からどのメーカーの靴でも履けるわけではなかった。最初はミキハウスのスニーカーを特定のシリーズを履かせていた。だいたい乳児期を終えると、ある程度メーカーをえり好みして靴を選べるようになるらしいのだが、我が家の場合は、履けるスニーカーが限られているので、ナイキやアディダス、プーマなどは履くことが出来なかった。長男が嫌がらずに履くことが出来たのは、ニューバランスだった。
996というモデルのマジックテープタイプしか履かなかった。ニューバランスのこれらのスニーカーは、やや”お高い”。金銭的には優しくないスニーカーだった。初めは5mm刻みで購入したのだが、足がすぐ大きくなるので、1cm刻みに変更し中敷きを入れた。それでも年に2回は買い替えなければならない。
(A)初期は、マジックテープが大きいタイプ
(B)療育期からつい最近まで履いていたのは、足首付近の細いマジックテープでホールドするタイプ
もう一つ困ったのは、このスニーカーしか履かないので、雨の日の後などすぐに乾かさなければならないことだ。慌ててドライヤーで乾かしたことが何度もある。以前履いていた小さめのもので急場しのぎをしたこともある。雨対策は今も続く問題なので、靴の乾燥機を早い段階で購入した。
何が原因か
二つあると思っている。
一つ目は、サイズだ。ニューバランスのスニーカーは、足の甲が高く幅が広い長男の足に合っていた。途中、ナイキを試着させたことがあるが、窮屈だと言っていた。
もう一つは、マジックテープのホールド力だ。他のメーカーのものと比べ、ニューバランスのマジックテープは丈夫で、しっかりと固定できる。
上記(A)タイプのマジックテープはむしれにくく、長男が自分で着脱できるので、とても重宝した。(B)タイプは各種メーカーが出しているのだが、ニューバランスのものが一番ホールド力があった。メーカーによっては、足の甲が高い長男の場合、マジックテープがしっかり固定できないものもあった。
足に合うサイズとマジックテープの仕様で、ニューバランス以外の選択肢を取ることが出来なかった。
どれぐらい大変だったか
一番の困り事は、やはり価格だ。ニューバランスは格安セールで手に入れることが困難なので、5~7千円ほどかかってしまう。私がこれよりも安いスニーカーを履くことで帳尻を合わせていた。足のサイズが大きくなってからは、マジックテープタイプを探すことが難しく、数年前に通常のスニーカーへ切り替えた。ただ、これには相当な苦労が伴った。
何故なくなったのか
マジックテープタイプの苦労は、サイズがなくなったことによってなくなった。『履ける靴がなくなる』という焦りと不安は大いにあった。今は通常の紐タイプのスニーカーを履いているが、これを履かせるにあたっては、それなりの苦労があった。後述する。
今も続く靴の苦労
長男は靴ひもを結ぶことが出来ない。今でも靴紐は結べない。マジックテープのスニーカーは、もうサイズ展開がない。私が趣味でやっているジョギングのシューズに、シューレースの代わりにゴムが通されていて結ぶ必要のないモデルがあった。これをを真似て、ゴム紐を使ってみることにした。
紐タイプのスニーカーを購入し、ゴム紐を通している。ゴム紐は色々な種類があり、商品によって形状もかなり違う。一番使いやすいものを探すため色々な種類を購入した。色々試した結果、下記の商品リンクのものが一番使いやすかった。ずっと愛用している。因みに、調査期間中は、私の靴の紐をゴムに替えて、使用感を確認した。
長男の靴のサイズは、27.0cm。私より大きい。このゴム紐は大人も使えるものなので、当面はこの紐でなんとかなるだろう。行く行くは靴紐の結び方を教えたいが、手先が不器用な長男には難しそうだ。ずっとこのゴム紐を使い続けることになるかもしれない。
ちょうど一昨日長男のニューバランススニーカーを購入したばかりなのだが(下記画像)、私が履くと少し大きい(私は26.5)。自分よりも大きい靴を、小学生の長男が履くことになるとは思っていなかった。足はどこまで大きくなるのだろう。ちなみに、次男も足が大きく、低学年なのに24.5cmを履いている。妻よりも大きい。
ウチの兄弟は、足が大きく、背も高い。我々夫婦はごく平凡な身長と体格。なぜウチの子たちは大きいのだろう。謎だ。
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