大変さを分かってもらうには(2)
私は自分のことを悪人だと思っている。他人が不幸になることを望んでしまうからだ。
自閉症の苦労を知る一番の方法は、当事者の苦しみを味わい、絶望することだ
自閉症の我が子のことで気持ちが落ち込んでいる時、このように考えてしまうことがある。
もし、全ての家庭が2週間自閉症家族と同じ苦労を体験したら、この障がいへの理解は格段に進むだろう。
たったの2週間を耐えることが出来ず、壊れてしまう世帯が続出するだろうと思うので、実際には起こってもらいたくない。
身体の障がいや難病の苦しみを知らないので、私もとやかく言える立場にないことは十分理解している。
でも、「我々の苦しみを“フツー“の人にも知ってほしい」と思わない日はない。
子どもの成長によって、自閉症特有の困難や大変さは格段に減った。
苦しいと感じることが少なくなったら、子どもの成長だけでなく、家族も成長したのだろう。
子どもによって、親と家族は鍛えられているようだ。
小さな幸せで大喜びすることができる。
我が子が自閉症でなけれ、気づかなかったことだ。
全ての家庭が味わえる幸福感ではない。
自閉症児は、自分を育てられる親を選んで産まれてくるんだよ、という話を聞いたことがある。
もちろん荒唐無稽な話だが、ある意味で正しいとも思う。
ウチじゃなかったら、この子は大変だっただろうな、と思うことがある。
ウチは大変だけど、それでも幸せなのだ。
不便なだけで、不幸ではない。