劇的変化「見たことのない番組を見る」
自閉症の長男は、テレビ番組をオンタイムで視聴しない。10年以上続くこの習慣は、
中身の分らないもの(番組)を見るのが怖い
こう考えている為、続いている習慣だと思われる。長男は録画した番組をざっと確認し、何度も見るべき番組が否かを判断している。
下記のような手順で番組の予約~選別の作業をしている。
- デッキの番組表機能から、見たい番組をキーワード検索で探し、録画予約をする
- 録画した番組をチャプター送りや早送りボタンを使い、大まかに内容把握する
- 集中して見るべき番組が否かを判断する。
見なくていいと判断した番組は、長男が自分で判断し、ストックか消去か決める。
消去の操作は自分で行うする - 見るべきと判断した番組を繰り返し見る。”早送りせずに見る場面”と”早送りする場面”が、おおよそこの過程で決まる。
- 見たい番組のお気に入りシーンを何度も見る。
最初は、同じ番組を何度も見ていると思っていたのだが、そうではない。“好きなシーン“を何度も見ているのだ。
どんなに好きな番組であっても、早送りなどせずに視聴する番組はほとんどない。番組自体が好きなのではなく、好きなシーンが多い番組を好きになるのだ。
例えば、ヒルナンデスのディズニー特集は面白いので、長男はヒルナンデスを好きな番組として捉えている。しかし、長男が見たいのは、ヒルナンデスのディズニー特集なので、毎日予約をするようなことはない。ディズニーを特集する日だけ狙う。ちなみに、先日放送していたルパン3世劇場最新作は、お気に入りシーン合計10分程度しか見ていない。この見方なので。話の筋は全く分かっていない。長男の横で見ていた私も、話の筋が全くわからない。ルパンと銭形が追いかけっこするシーンしか見ていない。
この、長年続けていることテレビ視聴習慣が変わろうとしている。
きっかけは、Amazonプライム・ビデオ(&Fire TV Stick)だ。
私や次男が、鬼滅の刃などを見る為に使っているAmazonプライム・ビデオを、今週長男が見始めた。コンテンツの中から気に入ったものを選ぶので、前述のテレビ視聴の流れとあまり変わらないのだが、家族にとって驚きなのは、中身を知らない番組(アニメのみだが)を選んでいるという点だ。
妖怪ウォッチやドラえもんなど、好きなアニメをえらんでいるものの、どんな内容なのか分からない回の放送をとりあえずチョイスしている。
当事者でないと何がすごいのか理解が出来ないと思うが、今までの長男ならまず出来ないことだ。Amazonプライム・ビデオの魅力が、長年の習慣を変えた。かなりの変化なのだが、人にそれをうまく伝える術がないことがもどかしい。とにかく、すごい変化なんだ。
視聴のしすぎはケアしなければならないが、コロナ禍がもたらせた長男のいい変化に、新しく一つ加えることができそうだ。我が家に限っていえば、コロナ禍は悪いことばかりではない。突然の休校と外出自粛が始まった頃から、長男と家族を苦しめている自閉症のこだわりが弱まりつつあるように感じる。
長年理由なく続けていたこだわり習慣が少しずつ消えている。
コロナ禍の中でもプラスを掬い上げることができている。とても有り難いことだ。
本人が急激に成長していることが主要因だと思っている。
できることなら。コロナ禍のうちにもう少し“改善事例“を積み上げたい。