小学校卒業(前編)
自閉症の長男が小学校を卒業した。
激動の6年間であり、激変の6年間だった。私よりも大きなサイズのスーツを着て、皆と同じように卒業証書を受け取る長男の姿を、6年前に想像することはできなかった。3月に引越しをして、翌4月から小学校生活を開始した。6年前の春はバタバタだった。
長男は、小学校の入学式に出席できなかった。入学式当日は登校するのがやっとの状態で、小学校の敷地内に入ることすらできなかった。校門の前で支援級の先生と撮った写真が、入学式唯一の記録だ。
入学して数ヶ月、長男は全てのことで泣き叫んでいた。教室、校庭、朝礼、給食、全てのことができなかった。ようやく学校生活に慣れたあとも、周りの子の何倍も不得手の多い子だった。毎年、支援級で新1年生を迎える際に困難さを押し測る基準は、長男の1年生当時のエピソードだった、と先生方から聞いたことがある。
小学3年生の運動会には参加できなかった。4年生になるまで送り迎えが必要だった。毎年運動会の前は不安と疲労でリズムを崩した。支援級の中でも、格段に多くの支えが必要だった長男の卒業は、我々だけでなく先生方にとっても感慨深かったようだ。
一方で、長男はコロナ禍に上手く対応した。