回顧録 乗り物酔い

今になって思えば、何故あの頃苦しんだのか分からないことが沢山ある。気付くとその困り事は綺麗さっぱりなくなっていた。なぜなくなったのか、理由を考えず今に至っていることが山ほどある。

自閉症の長男は、乗り物酔い酔いが酷かった。マイカー移動だけでなく、電車やバスも苦手で、乳幼児期から困らされた。大きくなったあとは酔い止め薬が手放せなくなった。今ではかなり緩和されている。

どのような困り事があったか

乗り物酔いに一番弱かったのは乳児期。車に乗り、しばらくすると吐いていた。一度吐くとクセがついてしまい、その後は数分おきに吐いてしまった。胃がカラになっても吐き気は収まらなかった。苦しそうなので、車での長時間移動は控えた。

酔い止めが服用できる年になると、多少抑え込めるようになったが、フツーの子よりは弱いようだ。「気持ち悪くなっちゃったらどうしよう」という不安がストレスになり、気持ち悪くなることがある。これは今でも少し残っており、完全に払拭できていない。

何が原因か

乗り物の揺れや換気不足などの物的要因と「気持ち悪くなったらどうしよう」という不安・ストレス要因。乳児期こそ前者だったが、乗り物酔いの要因は圧倒的に後者だ。電車に乗る=気持ち悪くなる、という式が組み上がってしまう。酔い止めと後述の対策によって、気持ち悪くなる回数を減らし、苦手意識の払拭に努めた。今も完全払拭できていないが、“成功体験“の積み重ねが唯一の方法だと思っている。根気強く続けるしかない。

どれぐらい大変だったか

乗り物酔いはこだわり行動ではないので、直接的に困る事はそれ程多くない。困り事は二つ。実際に&吐いてしまうことへの対応と行動に制約が加わることだ。以前は服が汚れてしまった際の備えとして、着替えを常に持ち歩いていた。今やっている対策はこのようなものだ。

  • 電車での移動中、気持ちの悪さを訴えたら、途中下車して休憩する。
  • 袋を常に携帯する。袋は長男にもたせることで、いざという時はこれを使えばいい、と思わせることができ、不安が軽減するアイテムになっている。
  • 車で出かける時は、助手席に座らせる。これはかなり効果があった。車に乗る際にも、袋はもたせている。
  • バスは今でも苦手なので、極力利用しない。どうしても利用する際は、人と隣り合わない席を選び、振動するホイールハウスの上の席は避ける。

これらのルールと酔い止め薬の服用で、かなり抑え込むことができるようになった。

何故なくなったのか

今も完全に払拭できていないが、大幅に緩和された。本人の体の成長と不安を払拭できたことが要因だろう気持ち悪くなった時のために袋を持たせる。これだけで不安は軽減される。気持ち悪くならなかった回数を積み上げる。すぐに解消はされない。少しずつ“成功体験“を積み上げるしかない。大事なことは、子どもの立場に立って対策して、気持ち悪くなったら子どもの行動に全て合わせる。不安を積み重ねてしまうのが最悪だ。子どもが自信を積み重ねられれば、そのうち身体の成長がなんとかしてくれる


乗り物酔いで苦しんでいる家庭は多いと思う。酔い止め薬が服用できるようになれば、状況はかなり改善する。その後は子どもが何に不安を感じているか掴み、不安とストレスの払拭に努めることが一番の近道だと思う。

ただ、ウチの場合、新幹線や特急電車、飛行機の乗車経験がない。これらには今までの対策が効かないかもしれない。これらに対しても、悪い記憶が残さないアプローチを取るつもりだ。身体が大きくなれば、医師処方の強い酔い止めを服用できる。乗り物酔いは、一過性の困り事でしかないはずだ。