回顧録 食へのこだわり(既製商品)

今になって思えば、何故あの頃苦しんだのか分からないことが沢山ある。気付くとその困り事は綺麗さっぱりなくなっていた。なぜなくなったのか、理由を考えず今に至っていることが山ほどある。

自閉症の長男は、食べ物の好みが偏っている。今回は食のこだわりから、メーカーが製造した既製の商品に対するこだわりをご紹介する。第二弾は食のこだわりから、既製商品に関するものを取り上げます。

既製食品へのこだわり

自閉症は偏食が激しいというのは、万国共通のようで、お気に入りの商品を確保するのに苦労している親御さんは多いようだ。○○ストアの△△というハムしか食べない、など、自閉症児の数だけ食のこだわりのパターンが存在するような印象がある。長男にも、毎日決まった商品を食べる・飲む習慣がある。最初は、“その商品しか食べられるものがない“というところから始まっている。ある程度食べられるものが増えると、やめるものと残るものに分かれる。

どのような困り事があったか

長男には毎日食べると決めている商品が沢山あった。食品へのこだわりは療育期以前からあり、離乳食を終えた頃には既にあったような感覚だ。今は多少緩和されたものの、少し残っている。下記はこだわりの一覧。※印は今も好んで食べている商品だ。

  • ヨーグルト 牧場の朝(雪印)※ :夕食後に1カップ食べている。10年近く続いていると思われる。
  • ベビースターラーメン丸 :離乳食を終えて最初に好んだお菓子がこれ。これを一袋ポリポリ。際限なく食べ続けるので不安だった。今は”あれば食べる”程度知らぬ間にMUSTではなくなった。
  • 梅昆布(おしゃぶり梅昆布)※ :今もおやつとして毎日食べている。
  • ジョア(ストロベリー)※ :きっかけはスーパーでの試飲から。毎日一本、おやつの際に飲んでいる。
  • 野菜ジュース :デルモンテの決まった銘柄のみ飲んでいた。このこだわりは前述のジョアに統合され、今はルーティンから外れた。
  • シャケフレーク :これをかけないと白米を食べられなかった。フレークなら何でも良いわけではなく、まいばすけっとで販売されている決まった銘柄のみだった。数年前にルーティンから外れた。
  • 冷凍ピザ :パンピザと三角ピザを好んで食べていた。ハムの会社のものがお気に入りだったが、一度に買い揃えられるスーパーが少なかった。朝食がピザでなければいけない時期があったが、いつの間にかなくなっていた。
  • ハッシュポテト :オレアイダのハッシュポテトが大好きで、毎朝用意していた時期があった。気がついたらルーティンから外れていた。
  • ミートボール :まいばすけっとの決まった味のもの限定で、毎日ミートボールを食べていた。

ちなみに※は、今でも続いている商品だ。短期間のこだわりやマイナーなものを加えたら、もっと沢山のこだわりがあった。こだわり食品が増えると、買い物が大変になる。こだわりが減った今は、とても楽になった。

何にこだわっていたか

長男が初めて食べた時の“インパクト“で、ルーティン化されるか否か決まるのだと思う。ルーティン化されたものは、食べる時期を決めて定期的に欲する。正直なところ、味がいいからこだわっているわけではないだろう。”たまたまルーティンに入った”から続けて食べているだけだ。

その証拠に、※以外の食品は好んで食べる習慣がなくなっている。きっかけがあれば、ルーティンは解消できると分かった。

どれぐらい大変だったか

一番困ったのは、これらの食品を買い揃える作業だ。どこでも買える商品はいいが、特定のスーパーでしか販売していない商品は調達が大変だった。急に切らしてしまい慌てて買いに行ったらことが何度もある。リスト化して在庫管理までしていた。商品と購入可能なスーパーを紐付けし、常に覚えていた。

保存が可能な食品が多かったので、冷凍庫にストックしていた。その為、冷凍庫が大容量の冷蔵庫を買った。こだわりが和らいだ今は、冷凍庫に余りのスペースがある。有難いことだ。

何故なくなったのか

電車同様、明確な答えはない。おそらく、食の好みが広がったことが要因だろうルーティン化したものよりも美味しいものが見つかれば、こだわりは消える。給食や外食によって美味しいものを多く知ったことで、こだわりが減ったのだと思っている。

これは、全てのこだわりから生じる問題行動全てに対応するアプローチだと思う。より魅力的なものを知れば、こだわりは消えるのだ。


食のこだわりに関しても、和らいだきっかけは彼の成長だと思っている。味覚の幅が広がり、より美味しいものを求めていくとルーティンは消える。こだわりが強い時期の長男は、”これじゃなきゃだめ”というルールに自分自身も縛られている。好き好んでこだわっているわけではないと思っている。だから、”ほかにもいいものがあるよ”と教えてあげると、喜んでこだわりの鎧を脱ぐのだろう

いまもこだわって食べているものの大半は、身体によいものだ。我が家が幸運なのは、こだわった食べ物の中に、チョコレートやアイスなど、虫歯や肥満の元になる食べ物が少なかったことだ。こだわりの強さは、ストレスの高さと比例するように思う。ストレスを与えない生活が、こだわり解消の第一歩だと思う。